弊社はチタンの切削加工において数多くの実績を持っています。
軽量性、高強度、耐食性、生体適合性など優れた特性を持つチタンですが、難削材と呼ばれ、高精度で加工するためには工具選定、切削条件など確かなノウハウが必要です。
チタンとは
チタンは元素記号「Ti」で表記される金属で、レアメタルの一種です。
チタンは高価ではありますが他の金属に比べて「軽い」「強い」「サビにくい」といった多くの利点があり、幅広い分野で使用されています。その用途は工業用部品だけではなくインプラントや時計、メガネなど我々の身近な生活においても頻繁に目にするようになりました。
チタンには大別すると純度99.999%以上の「純チタン」と、チタンに他の金属を混ぜ合わせた「チタン合金」とがあります。チタン合金は機械的強度や加工性の更なる向上を目的として製造された、非磁性の金属です。
チタンは1940年代に産業利用が始まったばかりの新しい金属材料です。日々の研究・開発によってその可能性は今も広がり続けています。
チタンの特性
チタンは実用金属としては非常に軽く、高強度でサビにくいという多くの利点を持っています。
チタンの比重は鉄やステンレスと比べて約60%と軽量であり、そのうえ高強度です。同じ重さで比較すると鉄やステンレスの約2倍、アルミニウムの約3倍の強度を有しています。
またチタンは耐食性にも優れています。表面に形成される酸化皮膜によって、硝酸や塩素イオンを含む海水などの環境下では、白金と同等以上の耐食性を誇ります。
さらにチタンは金属アレルギーの原因となるイオンの発生が少なく、人体への安全性も高いため、生体材料としても幅広く使用されています。
このようにチタンは厳しい環境下でも対応可能な特徴をいくつも兼ね備えており、先端技術に欠かせない存在と言えます。
チタンの欠点
チタンの欠点として1つ目は価格が高いことが挙げられます。
チタンは自然界に単体で存在することはほとんどなく、他の元素と強く結びついた状態で鉱石の中に存在しています。そのため、一般的にはクロール法という分離方法を用いてこの結びつきを外し、チタンだけを抽出する作業が必要となります。
このクロール法には膨大なエネルギーが必要となるため、他の実用金属に比べるとコストがかかり、結果的に高価となる傾向があります。
2つ目の欠点は加工が難しいことです。
チタンが持つ「強さ」という利点は、裏返せば「加工が困難」という欠点を意味します。難削材と呼ばれ、チタンの特徴に合わせた方法で加工する必要があり、高い技術が要求されます。
チタンは地球上の埋蔵量だけで見ると、決して貴重な金属ではありません。にもかかわらず、チタンはレアメタルと呼ばれています。
その理由としては、金属チタンの抽出から切削加工に至るまで、すべての工程の難易度が高いことが挙げられます。
チタンの利用用途
昨今の産業において、チタンは幅広い用途で使用されています。
例としてはまず航空機やロケット、自動車、バイクなどの部品が挙げられます。これらの部品には「軽量」「高強度」といった特徴が求められ、開発当初から多くのチタンが使用されてきました。チタンを使用することで軽量化を図り、燃費の向上が期待できるためです。
また海水での耐食性が特に優れていることから、船舶や海水淡水化装置、発電所などでも使用されています。発電所で使用される復水器は熱に対する強度だけでなく、海水を使用するための強い耐食性も必要となります。まさにチタンはうってつけの素材と言えます。
さらにチタンは医療用器具や装飾品にも使用されています。人体への安全性が高いことから、人工骨やインプラント、時計やメガネなど、その用途は多岐に渡っています。
チタンの加工性質
チタンは「軽い」「強い」「サビにくい」など優れた特性を持つ一方で、その特性ゆえに加工することが非常に難しい金属です。
チタンは熱伝導率が低く、切削時の摩耗熱が逃げずにこもってしまいます。そのため工具にかかる負担も大きく、工具の摩耗や破損が生じやすくなります。メーカーによってはチタン専用の工具を作り加工している場合もあり、その扱いは容易ではありません。
また高温のチタンには材料と工具が癒着する「焼き付き」が生じやすく、同じく工具破損の原因となります。対策としては適切な切削油の選定・供給が有効であり、冷却性の高い切削油を高圧で供給する必要があります。
さらに加工精度の面でも、チタンはヤング率が低いためにたわみやすく、加工時に大きな力が加わるとビビりが生じてしまいます。素材の厚さ次第では加工精度を保つことが難しく、仕上げ寸法には十分な配慮が必要です。
このように高精度でチタンを加工するためには、工具選定や切削条件など、蓄積されたノウハウが不可欠です。
弊社はチタンをはじめとする難削材の加工において、数多くの実績を持っています。チタンの切削加工はぜひ弊社にお任せください。