弊社は純鉄の切削加工において数多くの実績を持っています。
透磁率と残留磁束密度が大きいという特性を持つ純鉄ですが、難削材と呼ばれ、高精度で加工するためには工具選定、切削条件など確かなノウハウが必要です。
純鉄とは
純鉄とは、純度が99.90〜99.95%程度で、炭素含有率が0.02%以下の不純物元素が少ない鉄のことです。我々が普段目にしている鉄は炭素含有率が0.02%以上のもので、さらに様々な元素を添加した「鉄鋼」と呼ばれるものです。また、純度99.999%以上の鉄については「高純度鉄」と呼ばれています。
純鉄は磁化によって強い磁力を持ちやすい特性を持っています。また磁性を容易に反転できる材料でもあり「軟磁性材料」と呼ばれ、磁力が必要な通信機器、電化製品などで利用されています。
軟磁性材料には他にもニッケル系合金の「パーマロイ」などがあります。しかしパーマロイは純鉄に比べて高価であること、また熱処理工程に高度な技術を要することなど、使用する際のハードルも高いため、磁気特性とコストパフォーマンスのバランスに優れた純鉄は各用途においても非常に重宝されている素材です。
純鉄の特性
純鉄は透磁率と残留磁束密度が大きく、保持力が小さいという特性を持っています。外部からの磁力によって磁化されやすく、強い磁力を帯びますが、磁性を容易に反転できる材料であり、軟磁性材料と呼ばれています。
純鉄の機械的性質ですが、金属材料としては柔らかく、冷間における展延性も高いため、冷間での鍛造加工性には優れています。しかし純鉄は圧力がかかると保持力が弱まってしまう性質があり、磁性材料としての特性を活かすためには切削加工を用いるのが適切です。
切削加工を行う上で問題となるのは、純鉄が持つ粘り気や延性です。その性質ゆえに切削加工は難しく、工具や加工速度など、適切な条件を選定した上で行わなければいけません。
純鉄の欠点
純鉄の欠点は加工が難しいことです。純鉄は柔らかく、冷間でも展延性に優れているため冷間鍛造加工には向いています。しかし鍛造加工では純鉄が持つ磁性材料としての特性が弱まってしまうという難点があります。
そのため、切削加工で対応しなくてはいけない場合が多い純鉄ですが、その柔らかさや粘り気と言った性質から、非常に切削しにくい素材です。
他の金属材料と同様の方法で切削加工すると、切り屑が工具に巻きついてしまい、工具摩耗や破損の原因となります。その結果、加工コストも大幅に上昇してしまいます。
純鉄の切削加工には確かな技術とノウハウが必要であり、実績を豊富に積んだ加工メーカーでなければ困難を要します。
純鉄の利用用途
純鉄は鉄粉を焼結・圧縮して成形する方法と、板や棒状のものを鍛造・切削加工して成形する方法とがあります。
鉄粉を成形する方法では主に磁心や磁石などに使用されており、金型や自動車部品と言った高密度・高強度分野の部品にも用いられます。
鍛造や切削加工で成形する方法では純鉄は軟磁性材料として利用されることが多く、例としては自動車エンジンの燃焼噴射用電磁弁やリレー、ソレノイドコアなどが挙げられます。
純鉄は加工方法によって磁性材料としての特性も変化するため、このように利用用途に合わせて適切な方法を選択する必要があります。
純鉄の加工性質
純鉄は純度の高さゆえに軟らかく粘性があるため、切削加工が難しい金属です。一般的な工具や切削条件で加工すると切り屑の巻きつきなどによってすぐに工具の摩耗・破損を招いてしまい、加工精度の低下、加工コストの上昇に繋がります。
純鉄は炭素含有量を上げることで加工性を改善することができます。しかし炭素含有量が上がると磁性材料としての特性が下がってしまうため、製品によっては使用ができず、純鉄を磁性体として活用する場合には適切な方法ではありません。
従って、純鉄の優れた材料特性を活かすためには、切削加工が不可欠です。
切削加工において重要なのは切削油の選定です。切削油は冷却作用はもちろん、工具の摩耗軽減や切り屑除去など、難削材の加工において様々な役割を果たします。
通常、冷却油は粘度が低いものほど冷却効果が高いですが、粘度が高いもののほうが潤滑性や切り屑除去には優れています。そのため、純鉄の切削においてはある程度粘度が高い冷却油を選定するのが良いでしょう。
このように高精度で純鉄を加工するためには、工具選定や切削条件など、蓄積された技術・ノウハウが欠かせません。
弊社は純鉄をはじめとする難削材の加工において、数多くの実績を持っています。純鉄の切削加工はぜひ弊社にお任せください。